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運命と因果応報を司る邪神 テスカトリポカ

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運命と因果応報を司る邪神

テスカトリポカ

邪悪な神は兄弟神と争い。 ときには協力して 世界の破滅と再生を繰り返してきた

兄弟神の対立と世界創造

テスカトリポカとは「煙を吐く」という意味で、その名の通り片足がなく、 切断された足に煙を吐くをつけた姿の神である。彼が片足なのは大地の怪物に よって食いちぎられたためで、失った足に 装着した黒曜石の鏡によって、世界中でこれから起こる出来事とその結末を予測する力があったといわれている。

 

テスカトリポカを象徴する足の鏡だが、後古典期前期に発見されたテスカトリポカの石像では、頭の上に煙を吐く鏡をのせ片足の先が蛇という姿になっている。

 ほかにも、片足に装着された煙を吐く の中から蛇が顔を出している像も発見さ れている。また、古典期後期になると、 顔が黒と黄色の幅広い縞模様になってい ることが多くなり、時代や場所によって姿を変えながら広く信仰されていた様子 がうかがえる。

 

 テスカトリポカは、この魔法の鏡を用 いて人間の生活を覗き込み、人の心を操っ て、不幸や苦痛をもたらす。 邪悪な神で あった。だが、ときには勇気や幸運を授 けることもあり、気まぐれな性格なので 人間には予想できない。そのためテスカ トリポカはどこにでも存在し、不和や争 いがもたらされるとされた。

 

 一方、二面性をもつことから対立の神で もあり、 戦士たちから守護神として崇め られていた。ほかにも、夜と苦難の神、不 幸の印、破壊と死の化身とされた。 祈願 者の代わりに相手に不幸をもたらす力が あるとされ、呪術者の神にもなった。 実 に多様な神格をもっていることから、単なる邪神ではなかったことがうかがえる。

魔術の鏡で人間の心を覗く邪神

 

 テスカトリポカと「ケツァルコアトル」は、兄弟神である。だが、 邪悪な神となる神はお互いに永遠のラ イバルのような関係であったときには激しく対立して世界を破滅に追い込み、 ときには協力して世界の創造に貢献した。 メキシコ中央高原に伝わる創世神話に よると、過去に、神が太陽となり支配し た世界が4つあったとされる。

 テスカト リポカは第1の太陽が支配する世界の守 護神であった。だが、テスカトリポカの 支配をよいと思わないケツァルコアトル との間に争いが起こる。この争いに勝利したケツァルコアトルはテスカトリポカ をジャガーに変えてしまう。

 第1の太陽 の世界の住民たちは、ジャガーとなった テスカトリポカに食べられて終焉を迎え る。

 第2の太陽の世界ではケツァルコア トルが守護神となるが、テスカトリポカ がさまざまな策を弄して打ち負かす。そ して、テスカトリポカの巻き起こした風 によって世界の住人は猿に変えられてし まう。

 その後、第5の太陽の創造に話が 飛ぶが、このときケツァルコアトルとテ スカトリポカは協力し、 大地の怪物「トラルテクートリ」を撃退する。彼らはトラルテクートリの身体をバラバラにして 大地をつくった。このように兄弟神の対 立と抗争を通じて、アステカの世界は変 化していったのだ。

 

煙を吐く鏡がが象徴しているもの

古代アステカにおける鏡とは黒曜石を磨いたもので、広く呪術に用いられてきた。 テスカトリポカが魔力 ある鏡を使って、人の未来を見て、運命をもてあそんだのも鏡への神秘性から生まれたものだろう。それに しても、彼に神秘性を感じるのは我々にも理解できるが、 「鏡が煙を吐く」という現象は、なぜ生まれたのだろう ( 記録された古い歌のなかに「大地の表面は煙の立つ鏡」と表現しているものがある。 テスカトリポカの 煙を吐く鏡が、 大地を象徴するなら、世界創造に大きな役割をもった神にふさわしいものであろう。 研究者のなかには、テスカトリポカがほかの神とも融合され、多く の姿や性をもっているのは、アステカに登場するすべ ての創造神がテスカトリポカの化身だからではないか と主張する者もいる。

テスカトリポカとジャガーの深い関係性

テスカトリポカは第1の太陽の守護神である。第一の太陽 は「ナウイ・オセロトル」と呼ばれ、4のジャガー」 という意味で、伝承のなかでもジャガーに姿を変えてい る。 ジャガーは古代メソアメリカ最強のケモノであり、獰猛な 夜行性の動物であった。 テスカトリポカがもつ暗黒面や残虐性と 共通する点が多いのでジャガーの守護神とされたと考えられている。

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