カシマレイコ 鹿島さん 日本神話につながる怪異
カシマレイコと呼ばれる怪異
眼鏡をかけた片足の女性という姿をした怪異で、その正体はかつてバレリーナを目指していたが事故で片足を失い、それを苦にして自殺した女性の幽霊であるとされる。夕刻あたりに街中でこの女性と出会った人間は夜中に鎌を構えた死神のような存在が片足を刈り取りに現れる為、「仮面のか、死人のし、悪魔のま」と唱えると助かるという。カシマレイコと呼ばれる怪異は他にも多い。複数例紹介します。
手首のないカシマレイコ
一つ目は片手の手首から先がない女性の霊であるというもので、この女性が生前のある日洗濯物をしている際、風に洗濯物をあおられ、片手がないことを通行人に見られてしまったという話がまず語られ、この話を聞くとその晩に必ずカシマレイコがやってくるとされる 。カシマレイコは夜寝るまでに玄関を三回ノックするので
「カシマレイコさん、カシマレイコさんお帰りください」と唱えればならないという。これに失敗するとこの女性の霊が居ついてしまうらしい。
自殺したカシマレイコというピアニスト
二つ目は筋腫に手を蝕まれ、手の切断手術を余儀なくされたことで絶望し、自殺したカシマレイコというピアニストの霊がこの話を聞いた人間の元に現れるとされ、「カシマさんのカは仮面のカ、カシマさんのシは死人のシ、カシマさんのマは、悪魔のマ」と唱えねば手を奪われてしまうという。
仮死魔霊子
三つ目は北海道のある町にて79年から80年頃に語られていたという話で、小学校の教室でストーブに使う石炭を保管している倉庫に出現したとされる。もともとはその倉庫で首を吊った女性で、一人で石炭を取りに行くと死んだときに着ていた白いワンピース姿のままで目の前に現れるとされ、漢字は「仮死魔霊子」という字が当てられたようだ。
赤い車体
四つ目は、ひき逃げに遭い、そのまま死亡してしまったカシマレイコという女性の話で、彼女をひいた車が赤い車体だったこと、また生前は子供や動物が好きな女性であったことから、赤い車のある家や動物を飼っている家の子供の前に現れやすいという。彼女が現れた際には「カシマレイコ」と三回唱えるとよいとされる。
鹿島礼子
五つ目は東京都で語られていたというこんな話。岐阜県に中学二年生のあ「鹿島礼子」という少女がいたが、美人ではあるものの勉強は得意ではなく、彼女の両親は出来の悪い娘を毎日虐待していた。そんなある日、少女が鏡を見ると目尻が裂け、大量の血が溢れ、眼球が垂れ下がっていた。そして強烈な痛みを感じた彼女は悲鳴を上げてその場に倒れ込み、病院に運ばれたものの目を切除され何も見ることが出来なくなった。それから彼女は死ぬまで部屋に閉じこもり、二度と姿を現すことがなかった。彼女は自分を虐待した両親と、頭の良い少年少女たちを恨みながら27歳で亡くなった。そしてその死の翌年から彼女は頭のよい小中学生と自分の父親と同じ名前を持つ男の元に現れるようになった。寝ていると枕元で何かを擦っているような音がして、目を開けると真っ黒い棒のようなものが佇んでいる。それは死ぬまで髪を切らず伸ばし続けた鹿島礼子の姿で、髪の間には真っ青な眼球のない女の顔が覗いている。鹿島礼子は「目をくれ」というが、これに「あげる」というとその場で目をくり抜かれる。「あげない」と答えると荒い息をして呪いの言葉を吐きかけて去っていく。また彼女に立ち会った人間はその後一週間運が悪くなるが、一週間を過ぎると何もおこらなくなるという。
鹿島さんという名前の怪異として、手足頭のない血塗れの女性の胴体という姿をした怪異もある。その由来はこう語られている。もともとは兵庫県加古川市に住んでいた人間の女性であったが、第二次世界大戦終戦直後、アメリカ軍によって強姦され、さらに両手両足の付け根を銃で撃たれたことで四肢を切断する手術が必要となったものの一命を取り留めた。しかし自分の美しさに誇りを持っていた彼女は耐えきれず、鉄橋の上から列車に身を投げ、死亡する。
事件の後、警察、国鉄の関係者が線路上に散らばる彼女の肉片を収集したが、不思議なことにその首から上は全く見つからなかったという。この自殺自体は数日で忘れ去られたが、その数か月後、今度は加古川市で人々の変死が相次いで起こるようになる。そして変死した者たちは皆、死亡日の朝におかしな光を見たとの証言をしていた。一つの家で起きるとそのすぐ近辺で発生するこの変死事件に人々はパニックを起こした。さらに警察がこの変死事件が起きた家を地図上で結ぶと首と手足のない胴体になるという奇怪な事実を突き止める。それからも変死事件は続くが、その犠牲者の一人が死ぬ直前、夜、突然目を覚まし微かな光が見えて目を凝らしていると、それは光ではなく首と手足のない血塗れの胴体が肩を左右に動かしながら這ってくる光景だったと証言し、それ以降その肉片を見た人間は必ず死亡した。その連鎖の中で次は自分の元にその肉片が現れると予想した男が恐ろしさのあまり加古川市と高砂市のの間にある鹿島神社に相談すると、この怪異から身を守るためには「鹿島さん、鹿島さん、鹿島さん」と三回叫んでこの神社の神を呼ぶしかないと言われ、それを実行したことで一度は難を逃れたが、肉片は男がどこに行っても付きまとい、現れるようになった。そしてこの肉片は、この話を知った者の元にも現れるという。
鹿島さん 日本神話の神である武御雷
怪談中ににおける「鹿島さん」は鹿島神、つまり日本神話の神である武御雷だと思われるが、怪異の最後に「地元では幽霊の肉片を鹿島さんと呼ぶ」という言葉が添えられているため、この手足と首のない幽霊にも「鹿島さん」の名前が使われているようだ。元になったのは70年代から都市伝説として語られていた悪霊カシマさんだと思われるが、体の一部が欠損していると語られる事が多いカシマさんに対し、こちらは五体すべてが欠損した姿で描かれている。一方で唐突に夜に現れる、「かしまさん」と三回唱えると撃退できる、話を知った者の元に現れるという特徴はカシマさんにも見られるものである。
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