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"カリスマ・ロックスター" HIDE 怪死の真相

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"カリスマ・ロックスター"

HIDE

怪死の真相

カリスマの怪死 それはあまりにも突然で、 あまりにも不可解だった…。

 

今から10年前

一人のカリスマがこの世を去った。 伝説の人気バンド「X JAPAN」の 元ギタリスト・HIDEであった。

心から音楽を愛し そしてファンに愛されていた男がなぜ? 彼の死を巡っては様々な憶測や噂が乱れ飛んだ 果たして、カリスマ・ロックスター

なぜ死んだのか…?

98年5月2日の早朝 自宅リビングのドアノブにタオルを巻き、それを自分の首に巻きつけ 倒れていた。同居の女性が発見し、すぐさま救急車で広尾赤十字病院に運ばれたが、同日午前8 時30分、死亡 享年33。伝説の人気バンド「X JAPAN」の元ギタリストhide(本名・松本 秀人)の死は、あまりにも突然だった。

5月7日に東京・築地本願寺で執り行われた葬儀には、多くのファンが沿道を取り囲み、彼の死 を悼み悲しみ、そして涙に暮れた。ファンにとって、彼の死は悲劇以外の何物でもなかった。

 

様々な憶測が流れた”疑惑の死"

 

hideは、年末に「X JAPAN」解散後、精力的なソロ活動を展開。5月には、「ピンク スパイダー』 『ever free」 2枚のシングルリリースを控え、さらなる活発なソロ活動を、ファンがそ して関係者が期待していた矢先の悲劇だった。公式発表は「自殺」とされたが、誰もが首を傾げた。 事実、週刊誌の誌面には、

 

「誰がhideを殺したか」 (FRIDAY・98年5月22号) 「酒乱!: 自殺「hide」を襲った異常ストレス」(FOCUS 98年5月15日号)などといった自 殺への懐疑的な見出しが躍っていた。

 

「彼が自殺なんかするはずがない」

 

謎に包まれた、誰もが首を傾げた突然の自殺は、以後ミステリアスな様相を帯びていく。 自殺と発表された経緯は、hideの実弟でパーソナル・マネージャーを務めた松本裕士氏が自 身の著作「兄弟』(角川書店)で、次のように述べている。

 

《解剖の結果、警察は死因を”呼吸困難による窒息死"と断定しており、僕に自殺だろうとの同意 を求めているようだった。

「では、どうしてお兄さんは首にタオルを?」

「ですから、僕には分からない…自殺するような人じゃないです」

「タオルを縦半分に切り裂いて、 ドアノブに掛けていた。それでも 自殺じゃないとおっしゃるんです か?」(中略)

警察は時間に追われていたのだ ろう。(中略)とうとう刑事さんは 最後の切り札”を出した。

「弟さんの気持ちは分かるけれど も、早く自殺だと認めなければ、不 審な事件ということになってしまうんだよ」(中略)

 

「それなら自殺なんでしょうね…」僕は仕方なく言った。》

 

裕志氏は、第一発見者に迷惑が掛かると考え、止む無く警察が提示する「自殺説」を飲んだというのだ。

 

hideの死の背景にこうした警察の思惑が絡んでいたとすれば、俄然「自殺説」には疑問符が 付く。事実当初からhideの死は、自殺ではなく、突発的な「事故死」とされていた向きもあっ た。メディアなどで囁かれた事故説の例をいくつかご紹介しよう。

 

① エルペノール症候群:写真週刊誌で精神科医・小田晋が指摘。「アルコールを飲んで寝た後、目 の覚め際に意識が朦朧とした状態のまま気がついたらとんでもないことをしていたという症状」に 起因して起きた事故死。

 

② マスターベーション中の事故死:首を圧迫した上で射精をすると倍増する人がいるらしい。こ のマスターベーションをhideが試していた最中に死んだいう説。

 

しかし、hideの死が突発的な事故によるものだとしたら、事故を誘発した本当の原因は果たして、何だったのだろうか?

 

そこで筆者は不謹慎ながらも、知人を介して紹介された人物に、プロファイリングを依頼した。 一ライターとしては勿論のこと、一ファンとしても、hideの最期がいかなるものだったのかを、そして真実を知りたかったのである。

 

「曲か何かのイメージが突然 彼に湧いて来るんですよ。そこから始まるんです」

 

さとう界飛  現在、彼は各方面で活躍する霊能者である。彼にhideが最期を遂げたマン ションで、死に至るまでの知られざる最期を、プロファイリングしてもらうという試みだ。

 

港区内の閑静な住宅街の一角 さとうは、hideがかつて住んでいたマンションの前に立った。

マンション全体をゆっくりとそして慎重に凝視する。

「ふぅーふぅふぅー」

突然、大きく息を吐き、 hideが住んでいた3階フロアのあたりに手をかざした。 そして、再度大きく深呼吸し、手で顔を覆う。言葉を発することなく、じっと動かない。頭の

 

中を様々なビジョンが巡っているかのようだ。 それから数分後さとうは自身の頭の中に浮かんだビジョンを言葉に置き換えるかのように、

 

プロファイリング結果を話し始めた。

 

「部屋に帰って来て誰かに電話してる… 電話が来たのかもしれない、携帯電話ですかね。意識 は朦朧としてて、冷蔵庫の水か何かを飲んでます。その後トイレか洗面台みたいなところで顔を洗って、タオルを首に掛けています」

 

この日、hideは、仕事の後、酒を飲んで朝6時半頃、弟・裕志氏が運転する車で自宅マンションへ帰宅している。

「部屋に入ってからはソワソワしている。色々と部屋 の物をいじくりだして......なんだろう、ビデオかな。 ソ ファに座ってビデオを観て、立ったり座ったりしなが らとにかくソワソワしてる。音楽のビデオかな? ビ デオを観ながら、だんだん彼のテンションが上がって、擬似トリップしているような状態になっています」

泥酔しながら帰宅したhideは、ビデオを観なら何をしようとしていたのだろうか?

 

「だんだん気持ちが高まって来たところで、曲か何か のイメージが突然彼に湧いて来るんですよ。そこから 始まるんです」

果たして一体、なにがそこから始まるのだろうか?

 

「薬じゃなくて自らの肉体を使って 飛ぶ行為"をしていたんだと思います」

 

そしてさとうは興味深い言葉を発した。

 

「あぁ、彼はけっこう自虐行為をしていたタイプなんですね」

 

自虐行為?

 

「仮死状態で、トリップする境目でイマジネーションを最大限に引き出そうとしていたようです」

 

かつてジョン・レノンが「LSDが無ければビートルズはなかった」と発言したように、多くのミ ュージシャンが、ドラッグで精神世界へトリップすることで得たイマジネーションを自らの音楽 に転化させていたケースは決して珍しくはない。つまり、日常の生活では垣間見ることのできな い世界へ、ドラッグによってトリップする行為だ。

 

しかし、さとうが言う自虐行為とはhideがドラッグを用いることなく、自らの肉体を虐め ることで、精神世界へのトリップを行なっていたということなのだろうか?

 

hideが生前「完全自殺マニュアル」(鶴見済・著/太田出版)を読んでいたことは、弟の裕志氏が著作で言及している。

 

そして「完全自殺マニュアル」に収録された「首吊り」の章には興味深いエピソードがある。 5年 10月に起きた歌手・フランク永井の「首吊り自殺未遂事件」に纏るエピソードである。

 

永井は首吊り自殺を図るも妻が発見し、救急車で運ばれ、一命を取りとめた。 永井は後に友人 の丹波哲郎にこの時の“臨死体験”をこう語ったという。

 

「ふと気がつくと平地に立っていて、前方の花園から美しい音楽とともに今は亡き友人や肉親の 声が聞こえた」(一部抜粋)

 

つまり、自らの肉体を極限まで追い込むことでしか垣間見ることが出来ない。別世界”で得たイ マジネーションを、hideが自身の楽曲への重要なエレメントとして、転化していた可能性は 否定できない。

 

「薬じゃなくて自らの肉体を使って“飛ぶ行為"をしていたんだと思います。彼はすごくストイッ クで真面目な方なんですけど、曲とかを作る時に一線を超えようとしていた。精神的に落ち込む ように自分に暗示をかけたり、ハイの状態になった時にはアップテンポの曲を作ったり。とにか く色々な方法で自分を追い込んで曲を作っていたタイプの方のようです」

 

ストイックで真面目な男だった 生前のhideを知る人間は口々に言った。 それはミュージシャンとして、妥協無き姿勢を最期まで貫こうとした彼の生き様を雄弁に物語

 

っている。 「この場所に残っている残像思念から見ると、創作意欲に満ち溢れていて、決してこれから死のうという意識は感じられません。むしろ、エクスタシーに近い状態で死んでいます」 この死の間際に彼の脳裏にどのような世界が広がり、彼がどのように音楽へと転化させようとしていたのか。残念ながら、それを我々が知る術はもはやない。

 

「彼のストイックさが裏目に出た悲劇です。 彼はトリップする方法を色々知っていたんだと思い ます。この時はたまたまタオルで首を絞めるという方法でのトリップを選んだ。 ただ、事故はお 酒を飲んでいたのが原因でしょう。 お酒さえ飲んでいなければ....」

 

さとうのプロファイリング結果を、読者の方々はどう受け止めるだろうか。信じるも信じないも、それは自由である。

 ただ筆者は信じたい。 決して自殺では無かった。 hideは最期までストイックに曲を作ろうとし ていた。それだけでも筆者には充分だった。死は 悲劇以外の何物でもないが、hideは最期まで ロックン・ローラーだったのだ。

 

 hideの死から10年 彼が残した数々の名 曲は、決して色褪せることなく、伝説として、語 り継がれるだろう。

 

(文中一部敬称略)

 

※松本秀人さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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