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神戸児童連続殺傷事件」(通称「酒鬼薔薇事件」) 少年A

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前代未聞の猟奇事件として、また逮捕された犯人が少年Aだったことで、 世間に衝撃を与えた「酒鬼薔薇事件」。事件からすでに15年経過したいま、 ネット上で時折みかけるこの事件に関する「トピック」は、 少年Aの居場所に関する情報がほとんどだ。 だが、あの事件に関する謎、疑問の多くは残されたままとなっている。 それはなぜなのか?その答えは本稿をお読み頂ければ分かるはずだ。 事件の背後で、いったい誰が何の目的で動いたのか・・・?

ポイント

遺体はなぜ「警察の駐車場」に 保管されていたのか?
学校の校門に置かれた切断された首。
血を連想させる赤文字で綴られた警 察への挑戦状。

前代未聞の猟奇殺人事件として、 世 間を震撼させた「神戸児童連続殺傷事 件」(通称「酒鬼薔薇事件」)から既に5年が 経過した。事件の犯人として逮捕され 当時14歳だった少年もすでに出所 し、法律的に事件には一応のピリオド が打たれている。だが······今なお多く の謎が未解明のまま放置されている。 それゆえ、革マル派や人権派弁護士 は事件発生当初から、公安警察の捜査 発表に嘘や改竄があるとして、「少年A 「冤罪説」を展開した。

「冤罪説が根強いのは知っているが、 冤罪ではないだろうな。ただ、どこまでが真実でどこからが嘘かは正直判断 しづらい点もある」

元公安関係者が指摘するように、冤罪 説は保留するとしても、事件の疑問や 謎が多いのは事実である。 例えば 筆者が特に疑問を抱いたのは、被害者の父親である土師守氏の著作『淳』(新潮 (社)に綴られた次の文章である。

警察官に案内されて一階に降り、最初に車を停めた西側の駐車場の方に出ていきました。なんで建物の外に出るんだろう?その時はそれを疑問にも思いませんでした。駐車場のガレ ージのようなところでした。車が五、六台は収まりそうな 囲いがあって、外からはも見えないようにシートのようなもので隠されていた場所がありました。その中に、青いビニールシートに覆われて、淳がいました。(前掲書より抜粋)

変わり果てた最愛の息子との対面だが、ここには重大な疑問が隠されている。「なんで建物の外に出るんだろう」土師氏も疑問を呈しているが、なぜ淳君の遺体との対面は「安置室」ではなく、「警察の駐車場」だったのか?神 奈川県警で殺人事件捜査の経験を数多く持つ元警察官B氏は語る。

「普通はどこも署内の安置室に置きますけどね。2年前(95年)の震災などで何か特別な事情でもあったのでしょうか」 事件が起きた月という気候を考え れば、遺体を駐車場に置けば当然腐敗は進む。止む無き事情があったかどう かは不明だが、解剖や検死という殺人 事件における重要なプロセスを考えれ ば、なおさらのことである。 「普通はそうでしょうね・・・・・・」 元警察官のB氏はそう言って言葉を 濁したが・・・・・・。

「首の切断」「犯行声明文」に 隠された謎と疑問

酒鬼薔薇事件が「前代未聞の猟奇事件」と認知された要因は、犯人が14歳の少年だったという事実である。そして、 その14歳の少年が遂行した次の二つの 行為が決定的な要因である。
①被害者の首を切断し、学校の校門に晒した行為
②警察を挑発した内容の「犯行声明文」 をマスコミに送った行為

あくまでも仮定の話だが、酒鬼薔薇 事件から前述の二つの要因を取り除い た場合の事件を想像してみて頂きたい。 それは首も切断されず、犯行声明文も 存在しなかった14歳の少年が起こした 一つの殺人事件〟という状況である。
無論少年の犯した殺人事件ということで世間の耳目は集めたであろうことは想像に難くない。だが、はたして、 あそこまでの報道がなされたかどうか。 なぜこんな話をするかと言えば、酒鬼薔薇事件を象徴する二つの要因にこそ、 多くの謎と疑問が集約されているから である。

まずは、首に纏わる謎と疑問である。 《「頭部の首付近を両手で持って、背 伸びをしながら、その塀の上に首を置きました」(調書より)

都内大学病院の脳外科医は証言する。 「難しいよ。頭部の重さは体重の12% 以上ある。仮に被害者の体重を11歳の 平均的な体重である40㎏としても、約5kgそれを自分の身長より 高く持ち上げて校門に据え置 くには力もいる。だいいち重 心が取れない通常、頭は首の骨周辺 筋肉で支えるから、首を切断すれば 前重心になる。斜めに切っても置けるかどうか。」

晒し首が行なわれていた江戸時代、 「首の固定」には手を焼いたため、「首の周りを粘土で固定する」方法で対処した という。
また、少年Aの身長は当時160セ ンチほどで、首が置かれた校門の塀の 高さは198センチ。果たして、少年 Aが背伸びをしたぐらいで、首を置く ことが可能だったのか? さらに、首 切断面が真っ直ぐ一様に切られていたことから、一部では「遺体を冷凍保存 し、電動ノコギリを使用したのではな いか」という説も浮上した。だが、少年 人は「金ノコギリを使用して切断した」 と供述している。そして、警察は犯行 に使用された凶器を「ナイフ」と記者会 発表するも、後に「糸ノコギリ」さ らには「金ノコギリ」と二転三転するド タバタぶりを見せているのだ。

「切手」に施されたコーティング”の謎 「手法としてはプロの連中クラスだな」

いずれにせよ、切断するのは大変な作業だよ。 断面をき れいに切るのはよほど環境(場所や道具、時間など)が整ってい なければ大人でも難しいと思う。それ 14歳の少年が金ノコを使い、夜中に 隠れながら表でやったというのはどう も......」(前出医師)

謎はまだある。 新聞が報道した次の記事である。
淳君の殺人・死体遺棄事件で、市立 友が丘中の正門に遺棄されていた淳君 この頭部に、量の繊維片が付着してい たことが10日分かった。(中略)車の製 シートカバーの繊維に似ており、犯人 が淳君を車内で殺害した可能性もあり、 捜査本部は犯人につながる有力な物証 とみて、分析を急いでいる)(毎日新聞97年6月1日付)
記事ではさらに、警察の聞き込みに よって頭部遺棄の前後に「白いワゴン 車」「黒い乗用車」「スクーター」などの目 撃証言を得たことを報じている。 この記事を額面通りに受け取れば、犯 人は運転免許を持っている人物であることは容易に察しがつくだろう。だが、 逮捕されたのは免許を持っているはず のない五歳の少年だったのだ。この記 事は単なる誤報だったのか? 「オウムの拉致事件でも、白いワゴ 車のような目撃証言がありましたね ・・・・黒い車と白いワゴン車のセットだ と、警察と公安を想像はできますがね。 それとシートカバーを使うそれなりの 年齢層の車、他はタクシーとかの営業車。あとは・・・・・・まぁ警察車輌。 でも警 察がわざわざ発表しているのだから違うと思いますけどね」(前出元警察官)
続いて「犯行声明文」に纏わる謎と疑問である。
科捜研の鑑定では少年Aと犯行声明 文の筆跡は同一とは認められなかった。 また、犯行声明文が入った封筒に貼ら れた切手には「コーティングが施され ていた事実が、少年の逮捕前に発売さ れた週刊誌の報道で明らかになった。

「切手には油かノリでコーティング 施されていた。 指紋や消印を隠すた めだろうが、これはよほど捜査方法を 熟知した者でなければ思いつかない) 週刊現代97年5月5日号)
では少年Aはこのコーティングにつ いて、調書でどのように述べているのか。

(封筒に切手を貼った後でしたが、僕 はどこからこの手紙を投函したか分か らないようにするために、その切手の 上から、家にあった水糊を薄く塗りま した水糊は、乾いてしまうとビニー ルと同じような性質になると思うので、 インク系統は弾かれると考え、郵便局のスタンプ印が見えにくくなるだろう と思ったからでした)97年7月15日付調書

コーティングという捜査方法を熟知 した者でなければ思いつかない特殊 技法を、14歳の少年が用いた事実を、 調書では「少年の思いつき」という無茶 苦茶な理屈で説明している。 「手法としてはプロの連中クラスだな(元公安関係者)

プロの連中クラスの証拠隠滅の手 法を1歳の少年が思いつきで実行した と説明する奇妙な調書は、隠された真 実を露呈している。 それは 少年A以外の事件で動いた。もう一つの存在である。

犯行声明文に散りばめられた「警察用語」

もう一つの存在とは何か。そのヒン トは前述の週刊現代が報じた記事にあ る。捜査方法を熟知した人間である可 能性から、記事では「酒鬼薔薇元警察 官」説が展開される。確かにコーティン グだけでなく、 神戸新聞社に送られた 犯行声明文には、警察関係者を想起さ せるようなフレーズがあるのだ。 該当箇所を引用する。

表紙に書いた文字は、暗号でも謎かけでも当て字でもない、嘘偽りないボクの本命である《ボクはこのゲームに命をかけている。捕まればおそらく吊るされるであろう「警察公論」という警察官向けの雑誌では、この犯行声明文に関して次のような見解が掲載されている。
(本命という言葉を本名の代わりに使 っているのが単なるあやまちとすれば 問題ないが警察用語である犯人を呼称 する本命を無意識のうちに使ったとす れば警察関係者ということも考えられ る。 死刑という一般的な言葉を使わず 「吊される」という言葉を使っている点 もその疑いをもたせるものがある「警察公論97年8月号)
前述の証拠隠滅のコーティングといい1歳の少年が知っているとは思え ない「警察用語」が犯行声明文に散見されるのはなぜか?
「考えられるのは声明文自体を警察 が作った可能性。もしくは原文は少年 Aだが、警察が手を加えている可能性。 少年Aの事件を利用する目的があった とすれば警察がやりかねない手法だけ どね」(人権派弁護士)

「酒鬼薔薇聖斗」というモンスターを作り上げたのは誰か?

「酒鬼薔薇事件・・・・・あれは笑い話、やり過ぎだよ。でも兵庫県警ならやるだろ」
ここの証言は本誌の関連雑誌「不思議ナ ックルズ(VOL.10/小池壮彦/1年 4月)に掲載された元公安関係者のコメ ントである。 多分に皮肉めいたニュア ンスだが、この証言には酒鬼薔薇事件 の本質が集約されている。

一つの殺人事件は起きた
犯人は少年である

ここまでは、揺るぎない事実である。 少年Aによる殺人事件である。 問題はこの先だ一つの殺人事件を「首の切 断」や「犯行声明文」という拡大演出 よって酒鬼薔薇聖斗」というモンスターを出現させ、「前代未聞の猟奇殺人事 件」へと仕立て上げ、様々な形で利用した。
ちなみに事件を陣頭指揮した当時の 兵庫県警本部長は、中田好昭という人 中田は、9年5月30日に起きた「国松長官狙撃事件」で整備部長とし ての責任を問われ、 訓戒処分を受けて かり、その後就任したのが、兵庫県警 本部長だった。また狙撃された国松長 官も兵庫県警本部長を歴任(80年4月) ており、酒鬼薔薇事件が起きた2ヶ月 前の97年3月31日に退官している。」 した奇妙な縁は置くとしても、中田 にとって酒鬼薔薇事件の解決は、汚名返上の千載一遇のチャンスだ
ったとも言える。

未解決の事件、謎が残る事件を考えるなら、時期と地域性は重要な要素 だ事件当時、関東ではオウム、 関西では革マル派によるIRや NTT労組 関与が問題となっていた。公安としては革マル派の摘発をやりたい。 特に 事件が起きた須磨は共産党が強い地域だ。この事件を利用して、非公然アジトの摘発に入りたい意図はあっただろ(公安関係者)
警察は革マル派を筆頭とする過激派 の摘発に最重点を置いていた。そして、 その時期、酒鬼薔薇事件は起きた。つ まり、警察・公安はこの事件を拡大演出 し、世論を煽って革マル派のアジトに捜査が入りやすいように仕向けたということなのか。

半世紀にわたり人権派運動を展開してきた団体会長は一笑に付した。
酒鬼薔薇? あれの真の狙いなら 公安の過激派アジト摘発が目的だろう。 嘘だよ、嘘。あんな事件は。そりゃ少 年が何かはしただろうが、首云々は後 づけたよ。世論を煽って自分たちが動 きやすいようにする。政府や公安がやりそうな姑息な手段だ。
少年A冤罪説を声高に訴えていたのは革マル派である。そして、革マル派 少年Aの供述調書書を病院から盗み 出したとして公然アジトが摘発を受けている(革マル派は事実無根を主張。 確かに少年A冤罪論を目にした時、「なぜ革マルが・・・」という疑問はあっ た。 酒鬼薔薇事件と革マルの接点がま ったくもって想像がつかなかったので ある”だが、警察への対抗・防衛手段として、革マル派が冤罪説を主張したとすれば、筋の通話で はある。無論、警察の捜査手法に問題 があった事実は揺るがない。警察もま 酒鬼薔薇事件に関しては脛に傷を持 っており、そこを攻撃されたのである。
酒鬼薔薇事件の後、少年法改正議論は加速はした。 「一部から反対論は出てましたけど、世論の味方をつければ官僚・議員も動き やすいですから」(法務省関係者)

幼き尊い命が奪われたという重大な事 実があるにもかかわらず、一つの殺人事件を拡大演出することで、警察、公安そして政府も恩恵を得た。
「まさか、警察がそんなことまでするわけがない」
読者の方々はこう思われることだろう。 至極真っ当で健全な意見である。 だが、酒鬼薔薇事件に正面から向か い合っても何も見えてこない。 我々の 常識など通用しない人間がこの事件の背後で蠢いているからである。 それが 警察であり、国家の正体である。その 事実を認識しない限り、我々は酒鬼薔 事件という出口のない迷宮の中で路 頭に迷うだけなのだ。

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