永久に解決しない
「八王子スーパーナンペイ事件」
事件を覆う「暗い森」と警察の思惑
2010年4月27日に施行された「公訴時効」を廃止する法案によって、犯人が逮捕されるまで、未来永劫、捜査が続けられることになった「八王子スーパーナンペイ事件」。
事件から25年が経過し、様々な情報が出てきてはいるが、いまだ解決に至っていない。警察が無能だから、かいけつしないのか? いや、そうではない。この事件には「解決できない」理由があるのだ。
おおよその犯人像は特定されている
1995年7月30日の夜半、東京・八王子大和田のスーパーで起きた惨劇 女子高生2人を含む女性従業員3人が拳銃で頭を撃ち抜かれて殺害された「八王子スーパーナンペイ事件」(以下、ナンペイ事件)は発生から25年が経過した現在も犯人は逮捕されていない。本事件は2010年に公訴時効が成立するはずだったが、公訴時効の撤廃が適用され、捜査は現在も継続中だ。犯人像に関しては、捜査直後から諸説が囁かれてきたが、当時、事件を担当した元捜査員は証言する。
「いろいろ言われたが、実行犯はアジア系外国人、手引きしたのは日本の暴力団・・・あとは内部に協力者がいた可能性。これがもっとも近いはずだ」
女子高生を含む被害者の限られた交友関係は、警察がその気になれば、調べることは造作もないことだろう。事実、関係者や犯人を知るであろう組織などへの捜査は徹底的に、元捜査官の言葉を借りれば「これ以上調べようもないほど」行われ、おおよその犯人像は特定されている。にもかかわらず、なぜ事件は「未解決」のままなのか・・・。
災害や惨劇、惨事はなぜ
「非自民党」政権下で起きるのか?
ナンペイ事件は発生した95年当時の政局を振り返る。
村山富市。社会党(当時)連立政権下の95年は異常だった。1月の「阪神・淡路大震災」、3月の「地下鉄サリン事件」と「国松長官狙撃事件」 そして、7月にナンペイ事件が勃発したのである。立て続けに起こった異常事態はまさに”悪夢”だった。と述懐するのは、自民党の某議員である。
「自民党と社会党の連立など、想像をはるかに超えた悪夢だった。」
左派の社会党党首が総理大臣になった事態は、諸外国から「日本は社会主義国に変貌した」と評されたほどだ。
そして、同じく社会運動出身の「左派系」菅直人政権下では「東日本大震災」が起きた。そして震災後におきた福島第一原発の事故はまさに”悪夢”であった。 ”非自民政権化” でこうした大災害が起きるのは偶然なのだろうか?
「情報がこないんだよ」
ある民主党大臣秘書は、原発問題で内閣に情報が来ないことに苛立っていた。この秘書の発したフレーズを村山政権下の社会党代議士から聞いたことがある。
日本における組織上の最上位に位置するはずの内閣が”軽視される”ことは、村山、菅政権時に共通する傾向だ。
「官僚基盤をもたない政党・総理・党首では、官僚は最低限の情報か捻じ曲げた都合の良い情報しか入れないでしょう。いくら総理と言えども”どうせすぐ政権が変わるんだし”という上っ面の忠誠心しかないんですよ」(元法務省官僚)
こうした内閣軽視の傾向は、当然のことながら警察の動きにも影響する。
「社会党が党首である内閣に警察が動かせるわけがない。背後に野中さん(弘務、当時・国家公安委員長)や亀井さん(静香、当時運輸大臣)もいたから、その面では動くかもしれないが、根本的に警察が社会党に協力することはまずない」(前出・警視庁元捜査員)
こうした”内閣軽視”の状況下でナンペイ事件は起きたのである。
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わずか「一か月」の差で
事項撤廃が適用されなかった
「国松長官狙撃事件」
無抵抗の被害者の頭を至近距離から拳銃で撃ち抜く残忍な殺害方法 しかし、元警視庁捜査員によれば、この殺害方法には疑問があるという。
「強盗の本来の目的は金だ。だとすれば殺人、それも3人も殺したとなれば、必然的に警察の捜査を拡大・厳重化させる事態を招く。遺留品も残りやすい。強盗目的だとすれば被害者を後ろ手に縛った以上、殺す必要性は感じないだろう」
ではなぜ、あのような残忍な方法で殺害する必要があったのだろうか?
「ド素人のあせりか、または情け容赦ない外国人か、銃を扱いなれているプロ・・・ためらうことなく頭を撃ち抜けるのはそのいずれかだ。あの時期、確かに日本の暴力団が情報と武器を引き換えに外国人を手引きする事件が続発していた。必要とあらば殺人も厭わない・・・だが、3人・・・しかも高校生まで殺すのはどうだろうな。ヤクザでも多少あたまのいい奴ならやらせないだろう。警察の捜査は厳しくなるし、次の犯罪が出来なくなる。ど下手打てば組織の上まで引っ張られる。どうも大した計画もない、素人の犯行に思えるが、それにしては銃の扱いや狙いが正確すぎる。何かチグハグな印象を受ける」
確かに元捜査員の証言の通り、事件の細部を見れば、強盗が目的なのか、殺人が目的なのか、実行犯の行動と犯行の様態に一貫性がない。
また公訴時効撤廃の適用についても謎が残る。
公訴時効撤廃の適用は2010年4月27日に施行されたため、全ての未解決事件が適用されたわけではない。わずか一ヶ月の差で適用されなかった重大事件がある それが「国松長官狙撃事件」である。
国松長官狙撃事件は95年3月30日に発生、10年3月30日に時効が成立した。命の重さに優劣がないことはいうまでもない。だが、警察のトップが狙撃された事件をわずか一ヶ月という時間差だけで迷宮入りさせた一方、ナンペイ事件を「公訴時効撤廃の象徴的名事件」とした理由は何なのか? 「何がなんでもナンペイ事件だけは迷宮入りさせない」という警察の強い意志・執着を感じるのは筆者だけだろうか。 だがこの疑問は、オウム事件を担当した元公安関係者の証言で氷解した。
投入された
「13万人の捜査員」の意味
「13万人の捜査員投入に意味があるんじゃないか」
13万人の捜査員 ナンペイ事件に投入された捜査員の数である。この数字は警察にとって様々な意味をもっている。
「警察は犯人逮捕・事件解決に向けて、これだけの人員を投入しています」という”真摯に真面目に捜査に取り組む警察”というアピールが一点。そして警察が膨大な数の捜査員を「捜査名目」で投入できたという点。
「未解決事件にはそれなりの使い方もある。犯人逮捕が第一命題だが、こうした事件では広範囲で深い聞き込みができる。一般人が犠牲となった痛ましい事件の捜査となれば、国民感情は被害者に同情が集まるから、警察も動きやすい。捜査、周辺地区でのデータ収集という側面では、この事件は最適だった可能性もある。警察は住民全てを把握したい気持ちが必ずある。どこにだれが住んでいて何人家族でどんな思想で、どんな宗教でどこの国の人間か。一般人かヤクザか、その他もろもろ含めて」(元公安関係者)
さらに時効撤廃によって犯人が逮捕されない限り未来永劫捜査が継続されれば、警察にとって大きなメリットが生まれる。
「13万人と言っても同じ捜査員が何回もカウントされているし、対策本部がある限り予算計上ができる。残業や捜査協力費など裏で消える金も操作できる」
こうしてナンペイ事件を見た時、事件の様相は一変する。
女子高生を含む女性3人が犠牲となった痛ましい事件 だが、その背後には警察権力のキナ臭い動きが見え隠れしている。事件を俯瞰して見た時、ナンペイ事件でメリットを享受したのは誰か。それは前述の通り警察である。13万人の捜査員の投入、時効撤廃 警察が享受したメリットを考えれば、ナンペイ事件自体に何かしらの”意図”があったと考えられないだろうか。なぜ、事件は「八王子」という場所で起きたのだろうか・・・いや・・・八王子という場所でなくてはならない「理由」があったのである。
「八王子はいろいろな意味で警察が入りたい場所だった」
元公安関係者のこの言葉に事件の「鍵」が隠されていた。
「八王子は色々な意味で警察が入りたい場所だった・・・」
そして、その場所で惨劇が起きた・・・
暴力団、宗教団体、共産党・・・
「八王子」という都市のもう一つの顔
事件はなぜ「八王子」で起きたのか
八王子地区及び近隣の多摩地区は警察にとって重要な地域だ。その理由を以下に述べる。
90年、東京、東京進出を狙う関西の暴力団と関東の暴力団の間で「八王子抗争」と呼ばれる事件が勃発した。時期を同じくしてオウム真理教(当時)が勢力を拡大し、オウムのキャンプもあった。スーパーナンペイは「八王子市大和田4丁目」、オウムのキャンプは「八王子市大和田1丁目」である。 また93年にはオウムによる創価学会・池田大作暗殺未遂事件も起きている。事件の舞台は同じく八王子市内にある創価大学付近である。
またこの地域には、真如苑と創価学会という二大宗教団体の対立構図や共産党の根強い地盤もある。八王子という地域は、当時、警察にとって監視対象となるべき暴力団、宗教団体、共産党が混然一体となったカオス状態だったといえる。
「八王子、町田、多摩地区という場所は警察から見れば色々な意味がある。過激派のアジトも多く、各新興宗教の施設も多い。暴力団の対立現場にもなっていた。いわば反警察組織が集合していた場所といえる。当時はオウムが最も目立っていたが、外国の諜報機関の活動も活発で、宗教団体を隠れ蓑にしていることも多かった。宗教は信仰の自由や人権問題が絡むし、マネーロンダリングや文化交流の名目で海外への渡航も、招聘も容易だ。ほかにもその地域に多額の税金を落とすことも、警察にすれば動きづらくさせる」
反政府・反警察権力、そして不可侵の宗教団体の牙城・基盤である八王子という”特殊地域”に警察権力が捜査・介入する絶好の口実 それが、ナンペイ事件だったのではないか。そして、ナンペイ事件に時効撤廃を適用することで、警察権力は未来永劫、犯人をしない限り捜査名目で自由に捜査・介入できる下地を作り上げることに成功しただけでなく、予算まで獲得した。そして、事件の実行犯も”特殊地域”という闇の中に消えていった 全ては計算どおりだったのではないだろうか。
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「まさか、警察がそんなこと・・・そんなことのために何の罪もない人間が犠牲となったのか・・・」
おそらく多くの読者はこう思うだろう。名誉のために言うが、現場の警察官は必死に事件解決のために職務に励んでいる。だが、利益や金のためなら人の命を何とも思わない連中が上層部には存在するという事実は、福島第一原発の事故で明らかになったではないか。ナンペイ事件は、過去から連綿と続く棄民政策の”別バージョン”と見れば、事件の不可解な謎も犯人が捕まらない理由も氷解する。
各メディアがナンペイ事件の”新情報”として報じた「自衛隊説」「老スナイパー関与説」「中国の刑務所に収監されていた日本人受刑者」といった犯人像も、結局のところ事件解決へと結びつかなかったことを考えれば、ナンペイ事件の本質を隠す”攪乱情報”だった可能性が高い。
10年4月の参議院・法務委員会での中井洽国家公安委員長(当時)の次の発言は示唆的だ。
「未解決の事件につきましては、いろんな意味で、犯人が全く分からないというのと犯人が分かっているけど検挙できないというのを含めまして・・・」
犯人が分かっているけど検挙できない ナンペイ事件は警察にとって「未来永劫、解決してはならない事件」なのではないだろうか。
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