三つの丘の頂を切り落とす魔剣 カラドボルグ
ケルト神話に登場するアルスター戦士・フェルグスの愛剣カラドボルグは、アー サー王のカルブリヌス と語源が同じで、稲妻の剣という意味をもつ。
古代ケルト族の戦士たちは、槍ほどもある長剣を好んだというが、ことにカラドボルグは、虹の端から端までの長さに伸びる刃をもつ魔剣だったという。
フェルグスは、かつて王に裏切られたため、アルスターとコノートの間に起きた <クーリーの牛争奪戦争〉では、コノートの陣営につく。しかし彼は、元教え子であ るアルスターの英雄クー・フーリンとは、たがいに敬意をはらっていた。
だが、フェルグスはクー・フーリンと戦わなければならなくなり、そこで剣の鞘のみ を持ってきて戦いを避け、のちにクー・フーリンに勝ちを譲る約束をした。 では、カラドボルグは見かけ倒しだったのか? 答えは否である。その後の戦いでフェルグスがカラドボルグを振るうと、三つの丘の頂が切り落とされた。 その音は、はるか遠くにいたクー・フーリンの耳にも響いたという